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最高裁判所大法廷 昭和23年(れ)1092号 判決

主文

本件再上告を棄却する。

理由

辯護人日野寛上告趣意について。

略式命令の請求は、區裁判所(簡易裁判所)に對し、その管轄に屬する事件につき、公判前における對審でない手續として、略式命令で、罰金又は科料を科せられたき旨の公訴に附帶する檢察官の請求を言うものであって、その請求の基礎たる公訴の提起そのもの又はこれと不可分の一體を成す特種の公訴提起方法を指すものでない。これ舊刑訴第五二四條(新刑訴第四六二條參照)において略式命令の請求は公訴の提起と同時に書面でこれを爲すべきものとのみ規定し、公訴そのものの提起の方式については一般原則に讓っている所以である。されば、假りに、略式命令の請求が憲法に違反して無効であるとしても(しかしその有効であることは昭和二三年(れ)第八六八號同二四年七月一三日宣告大法廷判決參照)公訴提起そのものの効力には何等影響を及ぼすものではないから、原判決には所論の違法は存しない。論旨はその理由がない。

よって舊刑訴第四四六條に從い主文のとおり判決する。

右は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上 登 裁判官 栗山 茂 裁判官 真野 毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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